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エビリュウ沢遡行~鳥甲山~観音沢下降

期間:2011年7月15日~7月18日
山域:上信越
メンバー:H、A、I見
7月15日
 久喜駅に集合。が、移動中に電車が止まる。おいおい地震じゃねーか!幸いにも震源地は今回向かう長野県栄村ではないらしい。一安心か。栄村も3月に地震があったらしいので不安だったのだ。
 車で栄村まで向かう。117号線を栄村付近まで行くと通行止めになっていたのでまたまた焦ったが、栄村に入らず直接五宝木に入る道を見つけ、そちらからアプローチした(405号線からかな?運転してないのでよく分からんです)。明日はこの五宝木橋付近から入渓の予定だ。

7月16日
五宝木橋0730―二俣0745―勘五郎滝0955-勘五郎滝落口1100-ヒロゼの滝1311-二股1340-幕営1400
 予定通り橋付近の踏み跡から入る。しばらくは大きな河原を歩き、10分ほどで観音沢(の下流部分なので正確には朝日沢)とエビリュウ沢(同様に高山沢)の二俣となる。河原を歩き続けると次第に沢が狭まり、ゴルジュとなってくる。Hさん曰く、火山性の岩らしく、両岸泥壁のようなのにもげそうな岩がもげない、硬い。最初の滝2条4mは左から巻く。ロープが垂れてきていた。ここから15分ほど先、右に流れが曲がったところに堰堤がある。これは右にトラロープあぶみが垂れている。バランスが悪い上に切れそうで怖かった。両岸から沢が8mほどの滝となって出合う十字峡を過ぎる。ゴルジュはどんどんスケールが大きくなる。水量はそんなに多くないので水に浸ってもいけるのだが、濡れたくないとばかりにヘつりまくる。
 へつりを楽しんでいると視界が開けてきて、勘五郎の滝とご対面。50mを一気に流下する様は圧巻だった。いつものように登攀ラインを見出そうとするが、うーん登るなら流芯右だろうか、凹角にみえるところにナチュプロが決まったとしてもそれより上部はボルト連打になってしまいそうだ。そんな妄想もしつつ、5分ほど来た道を戻り左岸より巻きに入る。50mほどずっと急な上、下部は木が少ないので手こずる。この巻きに1時間ほどかかった。
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勘五郎の滝


 勘五郎落口で休憩下流の景色は最高だ。ここから高山沢は右にオゼノ沢、左にエビリュウ沢に分かれる。ここでI見が間違えてオゼノ沢に入り、放っていかれそうになったのは秘密(止めてくれよヽ(`Д´)ノ)。
 少し進んだところから連ばく帯となる。最初の6m2条滝は流れの間を登る。ロープを出したがそんなに難しくない。ガバ多し。この後も小滝が続く。左岸より支流が出合う1310m付近から雪渓が出現。AさんとI見にとっては沢登り中に雪渓に出会うのは初めてである。こんな風にスノーブリッジの下から白く冷気が出ているものなのか。沢登り中の雪渓と言えばスノーブリッジの下を怖々くぐるイメージだったが、左岸のボロ崖とトラバースして越える。このあたりでまた二俣となり、左はまだまだ大きな雪渓が続くが、右へ進む。右は5段くらいの滝が続く。1段目はフリーで、2・3段目は左岸から巻き、4段フリー、5段目はHさんだけフリー。「うん?悪・・・い・・・ふんっ悪いなぁ~(H)」と登ってしまったHさんにザイルを出してもらい、残りの二人も登った。
 ここからヒロゼの滝はすぐそこである。150mという高度をなだらかに流れてきている。傾斜は平均で45度といった感じだろうか。流芯左を乾いた岩中心に登っていく。なんだこれは!楽しすぎる!硬く白い岩が階段状になっており、もう・・・ワシワシガシガシ登れる。ロープも出さず、どこまでも登れてしまう感覚はクライマーとして最高のものだ!・・・と75mくらいまでは思っていたのだが、あまりにも快適なのでスピードが出すぎて、早くも疲れてくる。3人とも「サイコー、楽しぃー」とは言っているのだが、明らかにトーンが下がる。「あれぇまだ?」が「まだかよ!」に代わるころに150mのフリーソロ?が終わる。落口は小さな淵となっており、まるでお風呂のようであった。
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ヒロゼの滝

ここから流れは左に曲がり、庭園のような狭く小さな景色となる。勘五郎やヒロゼの滝とはまったく正反対の景色で、疲れをいやしてくれる。しばらくすると二股となり右へ進むのだが、良いテン場がないのでそれより下流で幕営となった。
この日の焚き火は、湿った木で多少苦労した。I見のウィスキーボトルは火に当たったせいで穴があいてしまった。当然酒も減った。ショック。

7月17日
起床0430-発0630-ヤブコギ開始0730-鳥甲山1000―観音滝1310―幕営1445
 朝から焚き火。この日も晴天。「トリカブトにアガサ・クリスティン(上がろう)!」と今日も陽気だ。いよいよ源頭部なので水量も少なくなり、尾根が見えてくる。ルートファインディングも難しくなってくる。東側の登山道が走っている尾根に上がりたい。ここだとばかりに尾根に上がってみたが、登山道が見当たらない。うーん、やっぱりマイナーな山は登山道もなくなってしまうものなのだろうか?とヤブコギを続ける。お、なんだか踏みあとっぽいのが出てきたと思ったら、右手に赤ザレが見える。んー、トリカブト山北尾根の右手にも赤ザレがあるようだが、この尾根の右手も崩壊してしまったのだろうか、地震のせいだろうか?
まさか登山道のない北尾根に上がったわけないよな?
 そんなことが頭をよぎった。が・・・そのまさかだった。なんと北尾根から東に伸びる支尾根に入ってしまったのだ。これによって500m以上密笹をヤブコギすることになる。笹がこちらに向かって生えている上、踏むと滑る。時に中途半端に折れた笹が腹に当たって「ウッ」となり、進行を妨害してくる。Hさんがほとんど喋らなくなる。クライマックスは急傾斜の笹帯となり、頂上へ直接抜ける。ぐったり。頂上はトンボが多く、うれしいことにブヨがほとんどいない。登山道は当然ちゃんとあった。
 大休止の後、また来た道を下り返す。赤ザレを避けて北尾根のコルから下るためだ。下りのヤブコギは登りに比べると比較的楽だった。ここから30mほど赤ザレを怖々下ると本流に入れる。本流は両門のようになっており、すごい光景だった。そしてまた雪渓が出てくる。一部くぐることもあった。500m以上続いていただろう。この雪渓が終わり、広い河原になると穏やかな軽装となり、下流までこれが続く。途中には観音滝8+40mが出てくるので左岸から懸垂。50mロープならぎりぎり1回だろうか。
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雪渓地帯

 下りきったところで幕営。途中、ぱらぱら雨が降ってきたが、屋根付き焚き火で凌いだ。良い薪が多く、よく燃えた。
7月18日
起床0520-発0730-五宝木橋1105
 夜、ヌカカに襲われた。こんなのは南九州にいなかった気がする。今日は瓦を下るだけ。滝から滑り落ちてみたり、ゴルジュを水につかりながら突破したり面白い。最後に15mほどの滝を右岸から懸垂で巻けばもう五宝木橋である。充実していた。
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下流ゴルジュ

 帰りは清津温泉300円にはいった。